あらすじ

 

 

 

 

舞台は東京の、ここではないどこかの地下実験室。

ゴキブリ博士とその弟子たちが、新しい人間としてのゴキブリ作りに励んでいる。

作りかたは、アメリカ軍兵士の鉄カブトに、アンパンのヘソに入っているゴマを一粒パラリと落とし、ウンコやシッコをぶっかけ、成長促進剤としてコカコーラを嵐のように降り注ぐ。こんどはアメリカタバコの煙をスパスパ吹きつける。むろん一定の温度を保つことを忘れてはならない。

そして、やがてくる ”世紀の一瞬” を迎えるべく生への驚異のドラマがひそかに展開されていく。

 

 

 

 

「世界はガラクタだ!」

 

 映画や小説や芝居やテレビやラジオや、評論めいたものや雑文めいたものや、いわば“文化”という規定の中に組み込まれているものを、そこから少しづつ引張り出して、一瞬のガラクタに還元し、そこから再生させるという“ゴキブリ運動”の始まるきっかけをあたえつづけてきた。いわば、いまこの歴史の中にあるものを、ガラクタにしてしまうことが、ぼくの作った“ゴキブリ”の大きな性格の一つかもしれない。ゴキブリが現代のガラクタ虫ではなく、ゴキブリを取り巻いているもののすべてがガラクタというわけだ。

 

「世界はガラクタだ!」

「ガラクタがいっぱい!」

「ゴキブリに立派なものは不要……」

「ガラクタ万才!」

 

みんなガラクタになっちまえ!

 

       内田栄一「特報・ゴキブリの作りかた」より一部抜粋/

            『ゴキブリなんでも事典』(ペップ出版・1976